現在、水産の世界では水産資源や生態系などの環境にやさしい持続可能な漁業や養殖業を認証する仕組みがつくられ、北海道でも取り組みが進んでいます。認証を取得した漁業・養殖業で生産された水産物には独自のマーク「水産エコラベル」が付けられています。お買い物の目安にこれらのマークをご活用ください。

〈参考資料〉サケについては海面漁業生産統計調査(農林水産省)、ホッキ貝については苫小牧市HPより

お話 石狩湾漁業協同組合 
専務理事 和田郁夫さん

2021年12月に審査が開始され、書面審査、予備訪問、現地調査と厳しい関門を経て2022年8月22日、「石狩湾系ニシン刺網漁業」についてMEL認証を取得することができました。北海道では古くからニシン漁が行われ、1897年には全道で97万tの漁獲があったものが、1955年頃にはほぼ漁獲量ゼロになったという経緯があります。今回MEL認証を獲得した石狩湾系ニシンは石狩湾沿岸域を主産卵場とし、過去に漁獲されていた「北海道・サハリン系」とは別の種となります。石狩管内でのニシンの水揚量は令和4年で年間2,700tとなっており、毎年、海が白く染まるニシンの群来が確認されています。

 ここまで漁獲量が回復してきた背景には長年の積み重ねがありました。まず、1996年~2008年にかけて北海道が事業主体となり、北海道栽培漁業振興公社及び水産試験場が中心となった「日本海ニシン増大プロジェクト」が、種苗生産、中間育成、稚魚放流を3本柱に実施されました。2008年からは、15漁協18市町村、オブザーバーとして17団体で構成され、当組合が事務局を務める「日本海北部ニシン栽培漁業推進委員会」が事業を引き継ぎ、年間約200万尾を放流しています。
 認証取得対象となった刺し網漁は、魚の通り道に帯状の網を仕掛け、その網に魚を絡めて獲る漁法です。私たちは網目の大きさを2寸目以上とし、漁期は例年1月中旬~4月上旬の75日間に定めるなど、厳しい資源管理を行っています。また、研究機関による資源量のモニタリングも行われています。
 外国産ニシンを使った加工品が大勢を占める中、ここまで資源量が回復してきた北海道のニシン。今回の認証取得をきっかけに魚を食べる魚食文化を広げていきたい。お店で北海道産のニシンを見つけたら、ぜひ刺身や焼き魚などで、ニシン本来のおいしさを味わっていただきたいと思います。